「エコキュート」と「電気温水器」は、家庭の給湯設備として広く使われています。どちらもお湯をつくる機器ですが、仕組みや電気代、設置条件などに大きな違いがあることをご存じでしょうか。「どちらを選べばいいの?」と迷っている人のために、それぞれの特徴やコストの差、家庭環境に応じた選び方をわかりやすく解説します。
それぞれの仕組みと特徴をやさしく整理
お湯の供給方法として広く使われているのが「電気温水器」と「エコキュート」です。見た目は似ていても、その中身や仕組みは大きく異なります。まずは、それぞれの基本的な仕組みと特徴について整理してみましょう。
電気温水器は、内部にある電熱ヒーターで水を直接加熱し、タンクにお湯を貯めておく仕組みです。簡単にいえば、大型の電気ポットのようなイメージです。夜間の安い電力を使って加熱する「時間帯別電力契約」に対応していることが多く、電気代を抑える工夫もできます。ただし、加熱に使うエネルギーは100%電気であるため、消費電力は高くなりがちです。
一方、エコキュートは「ヒートポンプ技術」を活用して外気の熱(空気熱)を取り込み、その熱を冷媒に集めて圧縮し、水を温めるという方式を採用しています。このヒートポンプ技術の強みは、少ない電力で効率的にお湯を作れる点にあります。電気だけで加熱するのではなく、空気中の熱を利用するため、電気温水器よりもエネルギー効率が高く、環境にもやさしいのが特徴です。
つまり、電気温水器は構造がシンプルで安定性が高く、設置も容易な点がメリットですが、ランニングコストはやや高めです。一方、エコキュートは初期投資こそ必要ですが、環境負荷を抑えつつ、長期的なコストメリットが期待できるという違いがあります。
節約派必見!月々の電気代と初期コストの差はここまで違う
給湯器を選ぶうえで、気になるのが「お金」の話です。ここでは、電気温水器とエコキュートの初期費用、そして毎月かかる電気代の違いについて詳しく見ていきましょう。
まず初期費用ですが、電気温水器の場合、本体価格と設置工事費を含めておおよそ40〜50万円程度が相場です。これは一般的な370リットルタイプで、2~4人家族向けの容量です。設置工事も比較的シンプルで、設置スペースもタンク1台分で済むため、費用と手間の両方を抑えやすいのが特徴になります。
対してエコキュートは、本体価格に加えて、ヒートポンプユニットと貯湯タンクを設置する工事費も必要になります。そのため、トータルの初期費用は約60~100万円と、電気温水器に比べて高額になる傾向です。とくにスペースの確保や設置環境によっては、工事費がかさむこともあるため注意が必要です。
しかし、注目すべきはランニングコストの違いです。電気温水器の月々の電気代は、一般的に6,000円〜8,000円程度かかると言われています。これに対してエコキュートは、月1,500円〜3,000円程度に抑えられるケースが多く、電気温水器の約1/3〜1/4の消費電力で済むといわれています。
つまり、電気代の差額が月3,000〜5,000円にもなれば、年間で36,000〜60,000円、10年では最大で60万円の節約につながる計算になります。このように、初期費用では電気温水器が有利に見えますが、長期的に見るとエコキュートが結果的にお得になるケースも少なくありません。さらに、エコキュートの購入や設置に対しては国や自治体の補助金制度が適用される場合もあり、それを利用すれば導入コストを大幅に抑えることも可能です。
家族構成や設置環境別に見るおすすめの選び方
どちらが優れているかは、単純に「安い」「高い」という比較では決まりません。ライフスタイルや住環境、さらには価値観によって、適した選択肢は変わってきます。ここでは、家族構成や設置条件ごとに、どちらが向いているかを考えてみましょう。
まず、少人数の世帯や単身世帯、あるいは集合住宅などで設置スペースが限られている場合は、電気温水器が有力な選択肢になります。タンク1台で設置でき、屋内外のどちらにも対応できる柔軟さが魅力です。シンプルな構造のためトラブルが少なく、導入コストも抑えられるため、初めて給湯器を設置する方にも向いています。
一方、4人以上の家族や、長期的に光熱費を抑えたいと考えている家庭、そして環境配慮を重視する人には、エコキュートが最適です。設置にはある程度のスペースが必要となりますが、ヒートポンプの力で電気代を大幅に削減できるだけでなく、AIやIoTによる省エネ運転、自動湯はりや沸き増し制御などの便利機能も豊富に搭載されています。また、災害時の備えとしても、どちらの機器もタンク内の貯湯を生活用水として利用できる点は安心ですが、エコキュートは最新モデルになると停電時の復旧が早いものもあり、非常時の備えとしても強みを発揮します。
静音性という観点では、電気温水器は運転音がほとんど気になりません。一方で、エコキュートはヒートポンプの稼働音が出るため、設置場所には一定の配慮が求められます。夜間に動作する時間帯では、とくに隣家との距離や音の方向を考慮した設置が大切になります。
総合的に見て、短期的なコスト重視で設置が簡単な製品を求めるなら電気温水器、長期的な節約や高機能・環境性に魅力を感じるならエコキュート、といった判断がひとつの目安になるでしょう。
まとめ
エコキュートと電気温水器の違いは、単に価格の差だけでなく、加熱の仕組み、ランニングコスト、設置の自由度、さらには環境への負荷といったさまざまな要素に及びます。電気温水器は初期費用が安く、設置も簡単なため、スペースが限られた住宅や費用を抑えたい方に適しています。一方、エコキュートは空気熱を活用する省エネ設計により、電気代の節約効果が高く、長期的にはお得で環境にもやさしい選択肢です。導入を検討する際は、家庭ごとの人数や生活スタイル、設置場所の広さ、そして将来の電気料金や補助金の活用可能性まで含めて、総合的に判断することが重要です。
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